大剣のエーテル


「ランバートは、今夜は帰らないつもりなのかな…?」


「んー、それならまだいいけどな…」


(え…?)


ロルフの返答に聞き返すと、彼は瞳の色を深めて呟いた。


「…俺は、ランバートが任務のためだけにカイを探しているとは思えない。」


(どういうこと…?)


黙ってロルフの言葉の続きを待っていると、彼は静かに口を開いた。


「…ランバートは、誰が見ても団長にふさわしい実力の持ち主だ。だが…同時に、団長を務めるには“優しすぎる”。ヘラヘラ笑っているように見えて、アイツはふと、何か考えこんでいるような瞳をする。」


それは、私も感じたことがある。

私と出会った時から、ランバートはどこかこの世を達観しているような雰囲気を持っていた。

寂しげで儚さを宿す瞳には、覚悟のようなものを持っている気がしたんだ。

その時。

ロルフの息を含んだ低い声が耳に届く。


「俺には、ランバートはカイを追っているんじゃなくて、“自分の死に場所”を探しているようにしか見えねぇ。」


(!!)


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