大剣のエーテル


「どういう…こと…?」


私の問いに、ロルフはまつ毛を伏せた。


「団長は、ああ見えて仕事が出来る。カイを始末する任務を必ず成し遂げるだろう。…だが、あいつは必要以上にカイをエーテルから追放したことに責任を感じている。カイの命を奪うと同時に、一派に堕としてしまった罪を償うつもりなのかもしれねぇ。」


どくん…!


心臓が鈍く音を立てる。

全身の血液が氷のように冷たくなった。


「まさか…、自分も死ぬつもり…ってこと…?」


私の声は、少し震えていた。

しぃん、と静まり返ったロビーに響いたその声に、ロルフは何も答えなかった。

しかし、その沈黙は肯定を表しているんだということがひしひしと伝わってくる。

急に、目の前が真っ暗になった気がした。

ランバートという道しるべを失った私の世界が暗転していく。


(ランバートが…帰ってこない…?)


ぞくり、と震えが走った。

現状の事態の重さにようやく気がつく。

ロルフがお風呂でゆっくり体を休める余裕も無く、ロビーのソファで団長の帰りを待っているのは、ランバートの帰還が当たり前ではないと知っているからだ。


(こんな所で待っている場合じゃない…!)


タン!


ぎゅっ、と手のひらを握りしめ、床を蹴る。


「!っ、おい!」


ぱしっ!


走り出そうとした私の腕を、ロルフが掴んだ。

ぐん、と強く引き止められる。


「どこ行く気だ?外は真っ暗だぞ!」


「決まってるよ!ランバートを探しに行くの!」


「!」


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