大剣のエーテル
*翡翠の温もり
カチ…コチ…カチ…
時を刻む針の音だけが聞こえている。
時計はすでに午後11時を回っていて、街中が寝静まり始めたようだ。
窓の外を見ると、街にはぽつぽつと街灯がつき、中心部にそびえる本部は煌々と明かりがついている。
心の中は、ランバートのことでいっぱいだった。
「〜……〜…!……」
「!」
その時、扉の向こうから話し声が聞こえた気がした。
私は反射的に、腰掛けていた椅子からばっ!と立ち上がる。
パタパタパタ…!
素早く部屋の扉に駆け寄って、ガチャ!とドアノブを回し、勢いよく扉を開けて廊下に出た瞬間。
ドンッ!とその先にいた人物にぶつかった。
「っと!ノアちゃん…?!」
「!!」
聞き慣れた声にどくん!と胸が鳴る。
見上げた先には、驚きで見開かれた綺麗な翡翠の瞳。
「…ラン、バート……!」
掠れる声で彼の名を呼んだ。
ランバートは、ふにゃり、と優しい笑みを浮かべて答える。
「…ただいま、ノアちゃん。」
(…!)
彼は、私を労わるように肩を撫でる。
「あー、びっくりした。そんなに慌てて、一体どうしたの……」
ぎゅっ!
私は無意識にランバートに抱きついた。
彼は、ぴたり、と言葉を止める。
じんわりと、外套越しに温かな体温が伝わってきた。
(…いき…てる……。)