大剣のエーテル
エーテルとして認められるくらいの上級魔法使いだったのに、一夜にして人間になってしまったカイさんの苦しみは、計り知れない。
ランバートは、顔をしかめて続ける。
「…俺は、そんなカイを見ていられなくなった。カイは俺の魔法のせいで魔法陣を失って、こんなに傷付いているんだと思ったら…これ以上ないほどの罪悪感に苛まれた。」
カイさんを助けるためにした行動が、結果として彼を苦しめてしまったんだ。
ランバートは「…だから…」と、言葉を詰まらせた。
彼は、喉につかえている思いを吐き出すように、苦しげに呟く。
「俺は、ついカイに言ってしまったんだ。“あの時、俺は間違った選択をしてしまったようだ”…、って。」
(…!)
誰もいないロビーに、ランバートの悲しげな声が響いた。
翡翠の瞳が後悔に呑まれたように揺れ動く。
「俺は、カイに苦しい思いをさせてしまった自分を責めてそう言ったんだ。…だけど、あいつには、俺がカイを助けたことを後悔しているように聞こえたんだろう。」
ランバートは、ぽつり、と呟いた。
「今にでも壊れそうだったカイに、トドメをを刺したのは俺なんだ。…その後、カイは、任務で使えなくなった自分に失望されたと思い込んで、幻夢石に手を出した。…再び、エーテルとして認められる実力を得るために。」