大剣のエーテル
語られた真実は、想像以上に痛ましいものだった。
彼らの複雑に絡み合った誤解の糸が、解けないまま今に至っている。
「…カイさんは、魔法陣を砕いたランバートのことを…、恨んでいるの…?」
「どうだろうな。…でも、俺は、恨まれても仕方がないことをした。」
ランバートは、静かにそう言った。
その口調は、どこか覚悟を決めているようだった。
まるで、復讐を受けいれているかのように落ち着いていて、怖いくらいだ。
(…やっぱり、ランバートはカイさんと決着をつけた後…命を断とうとしているの…?)
ぞくり、と震えが走った。
彼の瞳に宿る翡翠の光が、やけに心もとなく感じる。
まるで、今にでも消えてしまいそうな…
「ノアちゃん…?」
無意識に彼の外套を掴んでいた。
小さく目を見開いたランバートは、私を見つめる。
すがりついているようにも見える私の仕草に、彼は困ったように微笑んだ。
「…どうしたの?」
私の心を尋ねるように小さく首を傾げたランバートは、月明かりのように優しい。
ざわざわと騒めく感情を、きっとランバートは察している。
きっと、私がこれから口にする言葉も、彼はすでに分かっているんだ。
「…ランバート…」
「ん…?」
「いなくなったり、しないよね…?」
「…うん。俺はずっと、ノアちゃんの隣にいるよ。」