大剣のエーテル
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ガタン…ゴトン…
遠くから、風に乗って汽車が線路を走る音が聞こえる朝。
差し込む朝日を浴びながら目覚めた私は、ベッドからむくり、と起き上がった。
…コンコン
ちょうどその時、私の部屋の扉をノックする音が響く。
「ノア、起きてるか?そろそろ朝メシだぞ。」
イヴァンさんの優しさを含んだ目覚まし声に、私は答える。
「…!わかった、今行く…!」
ドア越しに「…よし。」と返事が聞こえた数秒後。
隣の部屋から、先ほどまでとは一変した黒スーツの彼の声が聞こえた。
「オラァ、悪ガキども!さっさと起きねぇかッ!3分以内に食堂に降りてこなかったら、雷落とすぞ!」
(…。イヴァンさん…。)
“悪ガキども”、という表現からして、隣はランバートとロルフの部屋らしい。
昨日の記憶がちらり、と頭をよぎったが、私は雑念を振り切るようにしてベッドから出たのだった。
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「…ん。おはよ、ノア。よく寝れた?」
着替えを終えて一階の食堂へと降りると、テーブルにはカップを手にしたルタが座っていた。
「うん。ぐっすりだよ。」
「そう。」
いい匂いのする紅茶をこくり、と飲んでいるルタは、すでに朝食を終えたようだ。
私が彼の隣に腰掛けると、やがて、黒のスーツを着こなした男性と、少しはだけた簡易な浴衣をまとった青年が食堂にやって来た。
「おい、成人。いつまで寝ぼけてんだ。さっさと入れ。」
「ふぁー、腹減った。…お、ノア。早いな。」
イヴァンさんとロルフがそれぞれテーブルにつく。
と、その時。
彼らに続いてミルクティー色の髪の青年が現れた。
ふとした瞬間、視線が交わる。
「「…!」」