大剣のエーテル
彼が、わずかに眉を動かした。

しかし、彼はすぐにいつも通り、ふわり、と微笑む。


「…おはよ、ノアちゃん。」


「!お、おはよう…!」


何事もなかったかのように交わされた会話は、なんの変化もない、普段通りのトーンだ。

昨日の出来事が夢であったかのような感覚にさえ陥る。


「おい、ランバート。お前また夜更かしをしてたな?おおかた、本でも読んでたんだろう。」


「ううん、違うよ。昨日はちょっと眠れなくてさ。」


(…!)


さりげなく口に出された彼の言葉にぴくり、と反応してしまう。

ルタが「何?怖い夢でも見たわけ?」と尋ねると、それを聞いたロルフがルタに続ける。


「そういや、昨日ランバートは夜遅くまで机に向かってたよな?何してたんだ?」


すると、ランバートは私の隣に腰を下ろし、すっ、とテーブルの上に紙を広げた。


「“これ”を見てたんだよ。今後、どう進もうかと思ってね。」


ランバートが見せたのは、我がフィリターニア国の地図だった。

三日月状に伸びる土地に、街の位置や自然が描かれている。


「俺たちが今いる街はこの国の最南部。…で、俺たちが目指す一派のアジトは、国の最北部にある離島。」


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