大剣のエーテル

ランバートが指した地図では、三日月の下の尖りにロルフの街があり、一派のアジトは上の尖りの近くの島だった。

その2点を隔てるのは、大きな海である。


「なんだよ、真逆じゃねーか。」


そう眉をひそめたロルフに、ルタが低く呟く。


「あんたがこの街に飛ばされたから、こんなトコまで迎えに来る羽目になったんだよ。」


「ふーん。そりゃ、悪かったな。」


さらりと答えたロルフに、ムッとしたルタをよそに、イヴァンさんが口を開いた。


「そういや、一派のアジトがある離島の近くの最北端の町は、ルタの故郷だったな?お前、最短ルートとか知らねぇか?」


(へぇ、ルタの故郷なんだ?)


ルタに視線が集まると、彼は碧眼を細めて答える。


「これだけ距離があるんだし、この街からの直通列車はないよ。岩場が多いから船では近づけないし、一応、飛行機は飛んでるけど…空港は近くの町にしかないんだ。俺の故郷は“豪雪地帯”だから、吹雪のせいでまず辿り着けないからね。」


(“豪雪地帯”…?雪がたくさん降る地域が故郷だなんて、ルタにぴったり。)


ふと、そんなことを考えていると、イヴァンさんが気だるげにため息を吐いた。


「…ってことはどう進むにしろ、直通のルートはねぇってことか。…面倒だな。」


腕を組んで眉を寄せた彼の言葉に、私はぽつり、と呟く。


「…そっか。海の上を走る列車があればいいのにね。」


「そんな便利なもん、あるわけねーだろー。」


ロルフがあくびをしながらそう答えた

その時だった。

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