大剣のエーテル
*教会の魔女
「おー!ちゃんと町に到着出来たんだね。よかったよかった!まぁ、きっと大丈夫だろうと思ってたけど。」
ランバートと再会したのは、私たちが北の土地に着き、宿屋で夜を明かした翌日の朝のことだった。
ロビーに現れ、私とロルフの前で相変わらずにこにこしているランバートに、私は詰め寄る。
「あんな強引な交通手段をとるなんて聞いてないよ!…トロッコが海に落ちていくとき、“死んだ”と思ったんだから…!」
「ごめんごめん。でも、事前に言ったら反対されるかなって思ってさ。」
「当たり前でしょ!ランバートが1人で一派を相手するって言ったとき、本当に心配したんだよ…!」
(…結局はあの事態に巻き込まれない為の策略だったのかもしれないけど…)
すると、私の隣にいたロルフがランバートに尋ねる。
「一派の奴らは始末したのか?」
「あぁ。影たちは残らず、ね。」
さすがの実力だ。
心配にも及ばなかったということだろう。
その時。
ランバートが辺りをきょろきょろ見回しながら、こっそりとロルフに耳打ちした。
「あのー…イヴァンとルタは?」
「あいつらなら部屋のベッドでぶっ倒れてるぞ。宿屋に着いた時には満身創痍だったからな。」
(そりゃあ、昼から夜まで魔力を使い続けていたら倒れるよね。無事にこの土地に着けたことが奇跡だもん。)
最後はもう意地でトロッコを動かしているような状況だった。
恐らく、ランバートへの怒りが燃料になったのだろう。
ぼそり、と「…うわー、後が怖いなぁ…」と呟いたランバートは、苦笑しながら剣を担いだ。
その時、私はふとあることに気がつく。
「あれ?ランバート、荷物は剣だけ?あの大きい袋はどうしたの?」