大剣のエーテル
『何だよ〜!フォーくん、彼女かぁ?』
『ここに女は連れ込まない決まりだろっ!しょーがないな。黙っててやるよ〜!』
(えっ…?!)
急にフランクに騒ぎ出す男性たち。
きょとん、として状況を掴めずにいると、フォーゼルが焦ったように口を開いた。
「この人は彼女とかじゃないです…!ったく、騒がないでくださいよ!いい大人が!」
『ほーぉ?彼女じゃないってどういう関係だ?』
『フォーくんの片思いなんじゃないの?若いね〜』
「あんたら、うるさい!」
興味津々といった感じの大人たちにからかわれているフォーゼルは、冷徹で人殺しをなんとも思っていないような第一印象とは真逆だ。
私やルタを殺そうとした人とは思えない。
「ノアさん!行くぞ!」
「えっ!あ、はい!」
初めて呼ばれた名前に、つい敬語が出た。
すれ違った背後から『“さん付け”か〜?年上か〜?』『やるな〜、さすが幹部〜』とからかう声が聞こえる。
心なしか早足になったフォーゼルは、私の腕を掴んでスタスタ進む。
ぐっ!と掴む感触が少し強引で、私は慌てて声をかけた。
「あのっ、フォーゼル…!」
「!」