大剣のエーテル

こくり、と頷くと、フォーゼルは私の様子を伺いながら質問を続ける。


「あんたは人口が少ない国外れの町出身で、生まれたばかりの頃、一派に魔力を奪われた…そうだろ?」


無言で頷くと、フォーゼルは「やっぱり、そうか…」と小さく呟いた。

そして、すっ、と、私の目の前に手を差し出す。

その人差し指に光るのは、小さな魔法石がついた指輪。

キラキラと魔力で光っている。

その時、フォーゼルが私に向かって口を開いた。


「…もう、あんたも気づいていると思うが、この指輪に宿っているのはあんたの魔力だ。」


(!)


核心をつく言葉に、心が揺れる。

ずっと、ずっと欲しかった自分自身の魔力。

それが、目の前にある。


「ノアさん。」


「!」


名前を呼ばれ、目を見開いて彼を見る。

フードの奥から覗く瑠璃色の瞳が、まっすぐ私をとらえていた。


「悪かった。…なんて言葉じゃ足りないくらい、済まなく思ってる。あんたの魔力を奪い、人生を狂わせてしまったこと、ずっと、あんたに謝りたかった。」


「…!」


“俺は、ずっとあんたを探してたんだ”


教会でのフォーゼルの言葉が蘇る。

きっと、彼は本心からそう言っている。

私にこの言葉を伝えるために、ずっと探していてくれたんだ。



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