大剣のエーテル
心なしか落ち込んでいる様子の彼に、私は笑いがこみ上げる。
「じゃあ、いいじゃない隠さなくたって。そんなに可愛い顔してるんだから…」
「よくない!子ども扱いすんなっ!…あと、可愛いとか言うな…っ!」
(あぁ、分かった。フォーゼルは、一派の幹部だからフードを被っているわけじゃない。…女の子みたいな素顔が恥ずかしくて隠してるんだ。)
私の産まれた2年後に産まれたということは、彼は14歳。
思春期真っ盛りである彼は、強い一派の幹部になりきるためにわざと顔を隠しているらしい。
(か、可愛い…!この子、全然イメージと違う…!)
照れて威嚇している様子の彼は、まるで弟のようだ。
実際、同じ魔力を持ってこの世に生を受けたのだから、家族よりも近い存在なのかもしれないが。
と、次の瞬間だった。
…ドォン!!
「「!!」」
何かが崩壊するような大きな音が聞こえた。
フォーゼルとともに、はっ!として音のする方へと顔を向ける。
『フォーゼルさん!緊急事態です!』
若めの構成員の声が廊下から聞こえた。
「何があった?敵襲か?」
低くそう尋ねたフォーゼルに、構成員は答える。
『はい…!大剣を背負った青年が、この棟に乗り込んで来たようです…!』
「「!!」」