大剣のエーテル

心なしか落ち込んでいる様子の彼に、私は笑いがこみ上げる。


「じゃあ、いいじゃない隠さなくたって。そんなに可愛い顔してるんだから…」


「よくない!子ども扱いすんなっ!…あと、可愛いとか言うな…っ!」


(あぁ、分かった。フォーゼルは、一派の幹部だからフードを被っているわけじゃない。…女の子みたいな素顔が恥ずかしくて隠してるんだ。)


私の産まれた2年後に産まれたということは、彼は14歳。

思春期真っ盛りである彼は、強い一派の幹部になりきるためにわざと顔を隠しているらしい。


(か、可愛い…!この子、全然イメージと違う…!)


照れて威嚇している様子の彼は、まるで弟のようだ。

実際、同じ魔力を持ってこの世に生を受けたのだから、家族よりも近い存在なのかもしれないが。

と、次の瞬間だった。


…ドォン!!


「「!!」」


何かが崩壊するような大きな音が聞こえた。

フォーゼルとともに、はっ!として音のする方へと顔を向ける。


『フォーゼルさん!緊急事態です!』


若めの構成員の声が廊下から聞こえた。


「何があった?敵襲か?」


低くそう尋ねたフォーゼルに、構成員は答える。


『はい…!大剣を背負った青年が、この棟に乗り込んで来たようです…!』


「「!!」」

< 229 / 369 >

この作品をシェア

pagetop