大剣のエーテル
*死神の鎌
タッタッタッ!
フォーゼルと共にコンクリートで囲まれた廊下を走る。
外から聞こえる喧騒がだんだんと近づいてくる。
「…!」
バン!と扉を開けた先に広がっていたのは、真っ白な銀世界。
そして、雪と対角線上にいる黒の影が研ぎ澄まされた大剣で切り裂かれる光景だった。
外套がばさり、と風になびき、ミルクティー色の髪が剣撃で揺れる。
流れるような動きは無駄など1つもなく、敵を容赦なく斬り伏せる彼は、紛れも無い“エーテル”の顔だった。
「ラン、バート…?!」
カイさんを追っているはずの彼が、そこにいた。
名前を呼んだ瞬間、翡翠の瞳が私をとらえる。
ブワッ!!
ランバートが放つ魔力で辺りに突風が吹き荒れた。
私の隣に立つフォーゼルは、魔力で自身の影を操り風を凌ぐ。
と、その時だった。
「っ!」
数十メートル先にいたはずのランバートが、私の腕を引く。
ぐらり、と引き寄せられ、フォーゼルが目を見開くのが視界に映った。
トッ!
抱きかかえられるように連れ去られた私は、一派の建物から離れた場所に降ろされる。
サラリ、と頰に触れるのは、ミルクティー色の柔らかな髪。
「ランバート…?ど、どうしてここに…」
私が戸惑いながら尋ねた
次の瞬間だった。
ぎゅうっ!!
(!)
今まで感じたことのない強さで抱きしめられる。
わずかに震えるその腕は、私の感触を確かめるように体を撫でた。