大剣のエーテル


…ジャリ…


ランバートが、一歩前に踏み出た。


「俺も、ここでカイと会えると思っていなかったよ。…ずっと、お前を探してたんだ。」


カイさんが、ぴくり、と反応する。

わずかに顎を引いたカイさんは、フッ、と微笑を浮かべて答える。


「…それは、僕を迎えに来てくれたってことですか?一派での僕の活躍を聞いて、またエーテルに誘うために?」


ランバートは、カイさんの言葉には答えずに口を開いた。


「南部の町で、人斬り事件を起こしていたのはお前か?」


(…!)


ルタの診療所がある町で、ランバートが犯人として仕立て上げられた事件。


「殺生の罪に問われない俺の殺し方に似せることで、自身の罪から逃れようとしたのか?それとも…俺への当てつけか?」


どくん…!


ランバートの問いは、核心をついていた。

しかし、カイさんは動揺することなく静かに答える。


「“当てつけ”だなんて、ひどいですよ。俺は、ランバートさんに知って欲しかったんです。あなたと同じ剣の振り方で命を殺める力を得た俺の存在を。」


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