大剣のエーテル
と、その瞬間だった。
「“魔法使いじゃない”…?」
カイさんの口から、聞いたこともない低い声が聞こえた。
「何を言ってるんです…?ただの人間が、ランバートさんの隣に居られるわけないじゃないですか。」
それは、到底理解出来ない、といったトーンで、私の存在すら受け入れられないらしい。
「僕は、あなたの隣にいられる実力が欲しくて幻夢石に手を出したんです。なのに、なんの力もないその人が、なんの代償も無しにランバートさんの隣に居られるなんて…間違ってる。」
ざわざわと、カイさんの魔力が森の木々を揺らす。
震える空気に、その場にいた全員が息を呑んだ。
ランバートは、微かに眉を寄せてカイさんに問いかける。
「カイ。俺は側におく仲間を実力や立場で選んだことなんてない。…そんなもの、必要ないだろ…?」
しかし、その言葉はカイさんには届いていない。
彼はもう、自分の中に押し寄せる混乱に完全に支配されてしまったようだ。
「…なんで、僕じゃないんだ…」