大剣のエーテル

ぽつり、と呟かれた嫉妬にも近いその言葉は、カイさんの歪みの正体だった。

静かな森に、カイさんの声が響く。


「…ランバートさん。あなたが僕を追っているのは…僕を殺せと命を受けたから、ですか…?」


(…!)


全員が固唾をのんで見守る中、ランバートは真っ直ぐに彼を見つめて答える。


「そうだよ。」


(!!)


イヴァンさんやルタ、ロルフが目を見開いた。

さらりと告げられた答えに、カイさんは表情を変えずに呟く。


「…なんだ、そっか…。僕を迎えに来てくれたわけじゃないんですね。…僕は、まだまだってことか。」


かつての仲間に命を狙われているというのに、“死”など微塵も恐れていないカイさんの態度にぞくり、と体が震える。


(この人は心の底から、“強くなればまたランバートの隣に戻れる”ということしか考えていないんだ。)


自分がエーテルから追放された真の理由を、まだ理解していないのだろうか。

それとも、現実を認めることを拒絶しているだけなのだろうか。


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