大剣のエーテル

*溢れた熱


───“俺の名前は、ランバート。旅をしてこの町に来たんだ。”


遠くから聞こえるのは、かつての彼の声。


“もし、俺がエーテルの団長だったら……
一緒について来てって頼む?”


翡翠色の彼の瞳が、私を映したあの日。


“ノアちゃん、おいで。

───俺が君をさらってあげる。”



「っ!!」


はっ!として目覚めた。

視界に見えたのは、綺麗な装飾の施された見慣れない天井。


(…ここは…?)


ぱちぱちと暖かな暖炉が薪を燃やす音が聞こえ、ふいっ、とそちらを向くと、私が寝ているベッドサイドにすやすやと寝息を立てている小さな男の子が見えた。


「…!ノア、気がついた?」


私に声をかけたのは、ベッドに隣接する机で作業をしていたルタだった。

白衣に袖を通す彼は、安心した顔で私を見つめる。

その時、ベッドサイドで寝ていた男の子がふと目を覚ました。


「…ノア…おねえちゃん…?」


どうやら、ここは教会のようだ。

ババ様と暮らす中で1番年下らしい男の子は、私を見た瞬間にこりと笑ってルタを見上げた。


「おねえちゃん、おきた…!」


「うん。イヴァンとロルフに伝えてくれる?」


「わかった!!」


ルタに指示された男の子は、ぱたぱたと部屋を出ていく。

彼を見送ったルタは私へと視線を移して、ベッドサイドに腰を下ろした。


「体はどう?頭は痛む?」


「ううん、大丈夫。…えっと、私…どうして…」


「急に魔法を使ったから、体がびっくりしたんでしょ。」


(…!)


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