大剣のエーテル
ルタの言葉に、私は目を見開いた。
意識がはっきりしてくるとともに、カイさんの持つ幻夢石の魔法陣を砕いた光景が頭に蘇る。
(…あれが、私の魔法…?でも、あれはランバートの特殊魔法みたいだったけど…)
すると、ルタは分厚い魔法書を見つめながら口を開いた。
「ノア。あんた、フォーゼルに連れ去られた後、あいつから少しだけ魔力を奪い取ったでしょ?」
「!そ、そういえば、フォーゼルがそんなことを言っていたような…」
「多分、それが原因だね。ノアは、半分とまではいかないけど、魔法使いに戻れたってことだよ。」
(…!じゃあ、私自身が魔法を使えたってこと…?)
驚きと興奮が体を駆け巡る。
魔法を使う感覚がどういうものなのか、生まれて16年ピンと来なかったが、やっと、自身の魔法陣を見ることが出来た。
感動どころの騒ぎではない。
その時、ふとルタが私のおでこに手を当てた。
「んー…、熱はないみたいだね。」
と、その時。
「「ノア!無事か!!」」
バァン!と、扉を蹴破るようにして部屋に入ってきたのは、私が目覚めたとの知らせを受けて飛んできた様子のイヴァンとロルフだった。
そんな2人の焦りようを見てルタが眉をひそめる。
「ちょっと、ドア壊さないでよねそこの不良コンビ。心配しなくてもノアは無事だよ。」
イヴァンとロルフは、はぁーっ、と大きく呼吸をして肩の力を抜いた。
よほど急いで駆けつけてくれたのだろう。
私は、そんな彼らに笑みを見せながら声をかける。
「ごめんね、心配かけちゃって。なんか、急に魔法を使ったせいで体が追いつかなかったみたい……」
ルタの力を借りてベッドから体を起こし、扉にもたれかかる不良コンビに手を振ろうとした
その時だった。