大剣のエーテル
パァッ!
私の手のひらの前に、小さな魔法陣が現れる。
そして、オレンジ色だった陣が、みるみる“碧色”に染まっていった。
(えっ?)
部屋にいた全員が目を見開いた瞬間。
私の魔法陣から、ルタの氷の刃が飛んでいく。
シュン!シュン!
「「うぉぉぉっ?!!」」
ダン!ダン!、と不良コンビの頭上の壁に突き刺さる刃。
死にかけた彼らは、動揺して私を見つめた。
ロルフが心臓を抑えて私に叫ぶ。
「おいっ!何すんだよノア!」
「ごっ、ごめん!今の、私のせい…っ?!」
(ど、どういうこと…?!)
戸惑いを隠せず自分の手のひらを見つめる。
すると、何かに気がついた様子のイヴァンさんが、コツコツと私に近寄った。
「ノア。」
「…?」
「ちょっと俺に触れてみろ。」
(え…?)
状況を掴めぬまま、イヴァンさんの手を握る。
するとスーツの彼は、すっ、とロルフを指差して私に言った。
「あいつ目がけて、手をかざしてみろ。」
「う、うん。」
戸惑いつつも言われた通りに腕を突き出す。
すると。
パァッ!
私の手のひらの前に再び魔法陣が現れ、今度は琥珀色に染まった。
そしてそこから現れたのは、見慣れたイヴァンさんの電流銃。
黒い拳銃は、ゴト…、と私の手に収まった。
それをみたイヴァンさんは、続けて指示する。
「ん。じゃあ、試しに撃ってみろ。」
パァン!
ロルフの頰を掠めた雷の弾丸は、教会の壁に埋め込まれた。
「おぉいっ!あぶねーだろうが!素直に撃つな!殺す気かっ!!」
「あっ!ごめんっ?!」
(今度はイヴァンさんの魔法だ…!一体どうなってるの…?!)
魔法陣が消えた瞬間、イヴァンさんは「なるほどな…」と目を細める。
そして、私に向かって声をかけた。
「掴めたぞ。ノアの体に宿るのは、“最後に触れた魔法使いの魔法をコピーする魔法”だ。」
「えっ?!!」