大剣のエーテル
目を見開いてイヴァンさんを見上げると、「ふぅん。」と顎に手を当てたルタが続けた。
「たしかに、命中率とか実力の面はコピー出来ないけど、魔力の型はぴったり同じだもんね。」
(…それが、私の魔法…?)
それを聞いたロルフも、目を輝かせて私に駆け寄る。
「へーっ、面白れぇ!じゃあ、俺の炎の魔法も使えるってことか?ランバートの魔法も使えたくらいだもんな。」
(!)
その時、翡翠色の瞳の彼が頭によぎる。
どくん!と体が脈打った。
「ら、ランバートは?!ランバートは無事なの…?!」
「「「…!」」」
私の問いに、3人はぴくり、と肩を震わせる。
ふっ、と真剣な表情になった彼らはちらり、とお互い顔を見合わせた。
ルタが、白衣の袖をぐっ、と、握りしめながら口を開く。
「…大丈夫。心配はいらない。ババ様の治癒魔法に加えて、傷の縫合が上手くいったからね。あいつは“無事”だよ。」
(…!)
「…よか…った……」
ぽろり、と無意識にそう呟いた。
しかし、イヴァンさんたちは険しい顔のままだ。
手放しに喜べず彼らの様子を伺っていると、ルタが静かに続けた。
「でも、このまま一派と戦うとなると、安心は出来ない。至近距離で体を刺されたんだ。急所は外れたけど、はっきり言って傷は浅くない。」
(!…それって…)
「いつ傷が開いてもおかしくないってこと…?」
私の問いに、ルタは無言で頷いた。
ぞくり、と体が震える。
さっ、と血の気が引き、体温が下がるのを感じた。
ランバートが倒れた時の光景が頭から離れない。
雪の積もった地面が彼の血で赤く染まっていくのは、まるで悪夢のようだった。
私は、動揺したまま彼らに尋ねる。
「あの…、今、ランバートは?」
すると、イヴァンさんが廊下の方を見ながら答えた。
「さっきまであいつの部屋にいたんだが、まだ意識は戻ってないみたいだ。国で1番の名医であるルタに治療してもらったとはいえ、すぐには動き回れないと思うが…」