大剣のエーテル
第5章一派のアジト
*動き出す役者たち
「準備はいい?」
翌日の朝。
ランバートの声が聖堂に響き渡る。
集まった団員たちがそれぞれ頷いた。
(ついに、一派のアジトへと潜入する日が来たんだ…。)
イヴァンさんとルタは真剣な面持ちで地図を見つめ、ランバートは通信機を手にして誰かと連絡を取っている。
私は、ふとあることに気がついてランバートに尋ねた。
「ねぇ。ロルフはどうしたの?」
今朝からワインレッドの髪の青年が見当たらない。
大事な任務の出発に集合しないはずはないし、万が一、寝坊しているとしてもイヴァンさんに叩き起こされているはずだ。
すると、ランバートは「あぁ。」と声を上げて私に答えた。
「ロルフはここにいなくていいんだよ。昨日の夜、所用で隣町に向かったからね。」
「…?」
(一体、何のために?)
と、その時。
ギィ!と勢いよく教会の扉が開き、威勢の良い声が聖堂に響いた。
「みなさん、3日ぶりっス!お迎えに上がったっス!!」
声の主は、レガリアの制服をまとったハロルドさんだ。
明るい彼に、ランバートは笑みを浮かべて手を振った。
「時間ぴったりだよ、ありがとう。急に呼びつけてごめんね。」
「他でもないランバートさんの頼みならいくらでもパトカー回すっスよ!」