大剣のエーテル
「ねぇ。」
ふいに、青年が私に声をかけた。
「君の名前、聞いてもいい?」
(…!)
ぱっ、と彼を振り返ると、優しげな翡翠の瞳が私を見つめていた。
「ノア…です。」
つい緊張して答える。
他人に名前を聞かれるなんて、滅多にないことだ。しかも今日はこれが2回目。
ぎこちない私の態度に、青年は笑って言った。
「へぇ、ノアちゃんかぁ…。そんなに硬くならないでよ。さっきみたいな話し方でいいからさ。」
にこにことした彼に、緊張が少し溶ける。
彼は、ミルクティー色の髪を風になびかせながら言葉を続けた。
「俺の名前は、ランバート。旅をしてこの町に来たんだ。」
(やっぱり“旅人”だったんだ。今日は、やけに多いな…。)
と、その時、私の頭に彼の名前が引っかかった。
(ん…?“ランバート”?その名前、どこかで…)
「!あぁっ!」
「わぁっ?!」
急に叫んだ私に、青年は驚いて声を上げる。
私は、眉を寄せる彼に向かって尋ねた。
「あなた、イヴァンさんの連れの人?!」
「!」