大剣のエーテル
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《イヴァンside》
「…見えた、“アレ”か。」
空飛ぶパトカーに乗ること30分。
吹雪が視界を遮る中、前方にぼんやりと島が見え始めた。
それは端から端まで視界に収めることが出来るほどの小さな地で、島の周囲は異形の木々で囲まれている。
ハンドルを握るハロルドが、眉を寄せて口を開いた。
「噂には聞いてたっスけど、実際に目で見ると不気味っスね。近づくだけで吐き気がするっス。」
「あんた、それ普通に車酔いなんじゃないの?」
しれっ、とそう突っ込むルタは、助手席で碧眼を細める。
「違うっスよ!皆さんのような上級魔法使いなら平気かもしれないっスけど、ここら辺は幻夢石のせいで相当空気が汚れてるっス。レガリアの係長には体に毒っス!」
(どうやらババ様が言ってた通り、近づくだけでも浄化の魔力の消費が激しいみたいだな。…短時間でケリをつけないと危ねぇってことか。)
島を睨みつけながらこの先の動きを考えていると、俺の隣に座るランバートがにこりと笑って呟いた。
「イヴァン。そんな難しいことをしに行くわけじゃないから大丈夫だよ。俺たちは目の前に来た敵を残らず始末して、出来れば無傷で帰るだけだから。」
「それが“難しいこと”だっつーの。」