大剣のエーテル
ヒュォォ…ッ!
肌を刺すような風が吹き抜ける。
寒さだけで体力が奪われ、やけに対峙している時間が長く感じた。
…チャキ…
ランバートが、すっ、と大剣の柄に手をかけた。
すらり、と現れたのは、磨き抜かれた刃。
ランバートは小さく口を開いた。
「…そこを退け、カイ。」
団長の風格をまとった声が響く。
「一派が所持する幻夢石…、…1つ残らず砕かせてもらう。」
カイとフォーゼルが、ぴくり、と体を震わせた。
好戦的な笑みを浮かべたカイは、ボゥッ!と新たな幻夢石を胸元から取り出す。
(!)
ゴォォォッ!!
その瞬間。
俺たちの目の前に現れたのは、荒れ地を覆い尽くす、数えきれないほどの“影”たち。
ゆらゆらと蠢くその手には、幻夢石のかけらで作られた槍が光る。
(囲まれた……!)
ランバート以外のその場にいる全員が、魔力を解放して殺気を放った。
「…行くぞ。」
ランバートの唇が、そう素早く言葉を発した瞬間。
鋼の大剣が空を切った。