大剣のエーテル
すると、ランバートと名乗った青年は目を見開いて答える。
「な、なんでイヴァンのことを?確かに、俺はイヴァンと旅をしてここに来たけど…」
(やっぱりそうなんだ!)
私は、動揺するランバートにイヴァンと出会った経緯や、家に案内したことなどを説明した。
その間、ランバートは無言で私の話を聞いている。
(ランバートは“本を読みながら”、“草原でお昼寝をしていた”。イヴァンさん、すごいな。予想して言っていたことがほぼ合ってる。)
2人の間の以心伝心ぶりに半ば感心していると、私の話を聞き終わったランバートは目を細め、いかにも嫌そうな顔をして言った。
「…うわー、やだなー。あの人、気が短いんだよ。…まだイヴァンを1人にしておこうか。俺が帰ったらきっと、機関銃のようにお説教が飛んでくるだろうから。」
まだ2人と出会ってそう時間は経っていないのだが、ランバートが言った状況が目に浮かぶ。
イヴァンさんが、自分を“保護者”だと言っていた意味がやっと分かった。
ランバートは、こうやっていつも好奇心旺盛な“わんこ”のように自由に動いて、最後は叱られているんだろう。
「ねぇ、ノアちゃん。もう少しここで俺の話し相手になってくれない?」
私は、そんな彼の言葉に、くすりと笑って頷いたのだった。