大剣のエーテル

“いや、フォーゼルに瞬間移動魔法を使われたら終わりだぞ。奴は時空を好きに移動できる。”


イヴァンの言葉に、ランバートは腕を組んで微笑む。


“そこは大丈夫。フォーゼルの帰る場所をなくせば、瞬間移動を使う選択肢をフォーゼルから奪うことが出来る。”


(?)


“きっと、一派の真の目的は、“俺たちが離島で足止めを食らっている間、フォーゼル以外の一派の幹部たちが鉱山の幻夢石を使って王都に奇襲を仕掛けること”だと思う。…だから、俺たちがその裏をかいてその作戦を失敗させることが出来れば、俺たちを足止め出来なかったフォーゼルは、一派からの信頼がなくなり幹部を降ろされる。”


俺は、ランバートの口から出た言葉に、少し眉を寄せて同情気味に言った。


“フォーゼルを一派から追放させるってこと?…そこまでするの?ちょっとかわいそうじゃない?”


“んー…、確かに、ちょっとやりすぎかなあとは思うけど、フォーゼルからノアちゃんの魔力を取り返さなきゃいけないからね。”


ランバートは、しっかりノアのことも頭に入れた上で作戦を立てていた。

確かに、フォーゼルは一派の幹部として戦うためにノアの魔力を利用している。

つまり、一派じゃなくなれば自動的にノアの魔力は不必要になるわけだ。


(…うちの団長は、いつからこのシナリオを頭に描いていたんだろう。)


ランバートは、団員らが納得したのを見計らい、ロルフに向かって笑顔で何かを差し出した。


“…というわけで、鉱山を爆破させる係が必要なんだ。はい!これ。”


“?何だ?”


“ん?南部方面行きの寝台列車のチケット。後は任せるから、好きに暴れてきていいよ!”


“は?”


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