大剣のエーテル

(…まさか、本当にこんなにランバートの予想通りにことが運ぶだなんて、思ってもみなかったけど…)


その時、目を細めたイヴァンがフォーゼルに声をかける。


「一派の他の幹部たちが鉱山の幻夢石を使って王都に奇襲を仕掛ける策も、潰させてもらった。…城には、ランバートの連絡を受けたレガリアの幹部たちが待ち構えているだろうからな。」


「…っ!」


それを聞いたフォーゼルが、ふっ!と顔を伏せた。

未だに事態を飲み込めていない様子でぼそり、と呟く。


「…一派の幻夢石が全て壊されて、城への奇襲作戦も失敗…?…うそ、だろ…?」


俺は、一派の最年少幹部を見つめてまつ毛を伏せる。

フォーゼルの作戦失敗は、言うまでもなく一派にとって大きな打撃だ。

ランバートの狙い通り、奴はもう幹部の席には戻れない。


(…ノアの魔力を取り戻すためとはいえ、ほんと容赦ない。)


俺は、ちらり、とミルクティー色の髪の青年へ視線を移す。

すると、その時。

動揺したカイが、ランバートに向かって早口で尋ねた。


「ランバートさん!いつから気が付いていたんですか…?この地域に着いた時から?まさか、僕が爆弾魔としてレガリアに潜入した時からですか?!」


ランバートは、落ち着いた様子で答える。


「フォーゼルから一派のアジトの情報を聞いた時からだよ。…幹部ともあろう身分の魔法使いが、いくら14歳とはいえ、ペラペラと内部情報を喋るのはおかしいからね。」


それを聞いたフォーゼルも、呆然と自分のミスに衝撃を受けているようだ。

“いくら14歳とはいえ”、などと子ども扱いされたことにさえ気付いていないらしい。
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