大剣のエーテル

次の瞬間。

ランバートは剣を捨て、自ら幻夢石の霧の中へと飛び込んだ。

イヴァンが、その光景に目を見開く。


(?!う、嘘だろ、あのばか!)


ゴォオォッ!!


ランバートの侵入のせいで、カイを包む霧が激しく揺れ動いた。

闇に染まる霧の中で、ランバートがカイを抱きかかえるのが見える。


「っ、はぁっ…!」


ボスンッ!!


カイを連れ出したランバートは、転がるように霧から飛び出た。


ズサササッ!!


カイを庇うように地面へと倒れ込み、顔を歪めるランバート。


「「ランバート!!」」


俺とイヴァンは、素早く彼らに駆け寄った。

体を起こしたランバートをイヴァンが怒鳴りつける。


「おい!なんでカイを剣で斬らなかった?!幻夢石ごと砕いてお前の特殊魔法を使えば済んだだろ!」


翡翠の瞳が、わずかに揺れる。


「…カイは、ちゃんと自分で幻夢石を捨てたから…!刃は向けないって、約束した…!」


(!!…だから、自ら幻夢石の霧に飛び込んだってわけ…?)


「甘すぎなんだよ、ボケ!自分を犠牲にしてどうする!」


イヴァンがそう苛立たしげに叫んだ

その時だった。

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