大剣のエーテル

指輪から私の体へと完全に魔力が移ったその時。

フォーゼルがわずかに表情を緩めて口を開いた。


「今まですまなかった。…それと、ありがとう。」


(…!)


やっと、魔法使いに戻れた。

これで、私はランバートの力になれる…!

その時、カタカタカタ、とババ様の車椅子が近づいてきた。

そっ、と、私の手にババ様の温かい手が重なる。


…ポゥ…!


私の魔法陣が、ババ様の魔力の色に染まった。


「ノア、頼んだよ。」


「!っ、はい…!」


ババ様の声に大きく頷くと、パトカーの運転席から顔を出したハロルドさんが私に向かって叫んだ。


「ノアさん、離島まで送るっス!乗ってくださいっス!」


パトカーに駆け出そうとすると、フォーゼルが魔力で瑠璃色の瞳を輝かせながら私たちに声をかける。


「ノアさんに直接触れなければ、魔法をかけてもいいんだろ?俺がパトカーを瞬間移動魔法で離島まで飛ばしてやるよ。」


「!」


フォーゼルの提案にエーテル達も目を見開いた。


「あなたは私達の敵だったはずなのに…、どうしてそこまで…?」


ぽろり、と私の口から出た問いかけに、フォーゼルは穏やかな顔をして小さく答える。


「…ノアさんは俺にとって、家族よりも近い存在だからな。」


(…!)

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