大剣のエーテル

私の魔力を宿した母親から生まれたフォーゼル。

“一派を背負わなければいけない”と言っていた彼は、今はしがらみから解き放たれたような表情を浮かべていた。

小さく笑みを浮かべたイヴァンさんが、背中に背負うカイさんをルタに預けてパトカーへと乗り込む。


「ルタはここに残って、カイの治療を頼む。こいつは幻夢石を使い続けたせいでボロボロだ。ノアとランバートのことは俺に任せろ。」


「…わかった。全員無事で帰ってこないと、許さないから。」


エーテルの団員から、ふっ、と医者の顔へと変わったルタは、カイさんを抱きかかえて私を見た。

そして、小さく口角を上げて私に伝える。


「幻夢石に呑まれた者を救えるのは医者でも薬でもない。…もし、ランバートが幻夢石にやられそうになってたら、救えるのはノアしかいないんだからね。」


(…!!)


背中を押す言葉に、私は大きく頷いた。

そして、素早くパトカーへと乗り込む私とイヴァンさん。

フォーゼルの瑠璃色の瞳が、ポゥッ!と輝きを放った瞬間。

私たちを乗せたレガリアのパトカーは、光の中に消えたのだった。

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