大剣のエーテル
(ランバートもつまらなく思ったかな…)
つい不安になり、ちらり、と隣の青年の様子を伺うと、彼は何かに気がついたようにぱちぱちと瞬きをしていた。
彼の態度を不思議に思っていると、ランバートは私を見つめながら口を開く。
「“今日でちょうど16年”…?もしかしてノアちゃん、今日が誕生日なの?」
「あ…」
自分でも忘れかけていたことを指摘されて思わず声が漏れた。
彼の瞳に見つめられたまま無言で頷くと、ランバートは優しく微笑んだ。
「へぇ、そうだったんだ!早く言ってくれればよかったのに。」
そう言うと、彼は翡翠の瞳いっぱいに私を映して、そっ、と囁くように私に告げた。
「…おめでと。ノアちゃん。」
(!!)
呼吸さえ、忘れた。
得体の知れない不確かな感情が心の中に渦巻く。
「…そんなこと…初めて言われたわ。」
「初めて?」
「うん…、…私は、生まれてきたことを祝ってもらってことなんて…なかったから…」
ぎこちなく、ぽつり、ぽつりと言葉が出て行く。
何も考えられず、ただ素直な言葉が口からこぼれた。