大剣のエーテル
エピローグ
フィリターニア
それは、魔法使いが住む国。
人々は皆、魔力を持って生まれ、そして魔法使いの血を新しい命へと繋いでいく。
国の中心にある城では魔力の高い者たちが政治を行い、平和を保っていた。
そんな魔法使いの国では、禁忌とされている事項が2つある。
1つ目は、他人の魔力を奪うこと。
どんな店で働く人も、公務員も、政治家も、老若男女、社会を動かす者全てが魔法使いであるこの世界で、魔力を失うことは存在自体を否定されるようなものだからだ。
2つ目は、人を殺すこと。
寿命を決めるのは、運命と病であり、人が関わってはいけないものだからだ。
これらの禁忌を犯した者は、一生日の光を浴びることのできない監獄に入れられてしまうのである。
…しかし、この国には唯一、2つの禁忌を犯すことを許された者達が存在する。
その名は“エーテル”。
“年功序列無し”かつ“実力主義”の特殊警察部隊であり、国の各地から王によって集められた上級の魔法使いが所属している。
彼らは国の治安維持の為に活動し、王の命に従って様々な任務を遂行するのだ。
エーテルが発足されてから5年。その噂は国中に広まった。
彼らは国中の魔法使いからの羨望の存在であると同時に、禁忌を犯しても罪に問われない集団として恐れられたのだ。