大剣のエーテル

ドンッ!!


「っ?!」


曲がった先にいた人と、勢いよくぶつかる。

ぐらり、と体がよろめくが、咄嗟にたくましい腕が私を支えた。


「っ、ノアちゃん?!」


「!ランバート?!」


ずっと会いたかった彼が目の前にいた。

少し息が上がっている様子の彼は、目を見開いて頭を下げる。


「ごめん、急いでて前方不注意だった!でも、良かった。ちょうどノアちゃんに伝えたいことがあって探してたんだ。」


「!わ、私もごめんなさい!…って、“伝えたいこと”?」


偶然の出会いにドキドキしていると、ランバートはきゅっ、と私の手を優しく取る。

そして、満面の笑みを浮かべて言った。


「クリスマス、1日デートしよっか。」


「っ!!!!」


突然の展開に言葉が出ない。

願ってもみない提案に私は夢でもみている気分だ。


「ランバート、クリスマスは会合があるんじゃなかったの?」


すると彼は嬉しそうに、ふにゃりと笑って私に答えた。


「それが、さっきイヴァンから聞いたんだけど、その会合、今年はレガリアの報告会だからエーテルは出なくていいらしいんだ。」


「えっ?そうなの?」


「んー、何でだろ?こんなこと今までなかったんだけどね。イヴァンが王から言われたんだって。
…エーテル、はぶられてるのかな?」


腕を組む彼は少し腑に落ちないような表情をしていたが、すぐに、ころっ、と笑顔になる。


「でも、そのお陰でノアちゃんとずっと一緒に居られるし。理由は何でもいいやっ!」


(…楽観的だなぁ。私も嬉しいけど…!)


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