大剣のエーテル
私は、ぞくり!と体が震えた。
「む、無理だよ!絶対許してもらえない」
「だーいじょうぶ。俺もついて行ってあげるから。」
にこやかな顔の彼は、事の重大さをイマイチよく分かっていないようだ。
町長の仮面のような笑みを思い浮かべるだけで足がすくむ。
そもそも、ランバートに付き添ってもらったところでダーナさんに言い負かされて終わりな予感しかしない。
私は、この際だと思い、ランバートに向かって素直な気持ちを言い放った。
「失礼だとは思うけど、ランバートが付き添ってくれても意味ないと思うわ。イヴァンさんならまだしも、その…“威圧感”とか、あなたにはないじゃない。」
ランバートは、私をすっぽり抱きしめられるほどだから背はそれなりにあるのだろうが、ガタイがいいとは言えない。
むしろ、端正な顔立ちから、バイオリンが似合う美青年のような出で立ちだ。
私は、少しショックを受けているようなランバートに向かってとどめの一言を告げた。
「あなたがエーテルの団長みたいな大男だったら、まだダーナさんに勝ち目があったのかもしれないけど…、魔法でケンカが出来ない2人が協力して押しかけたって、負けるのが目に見えてるわ。」
「…!」