大剣のエーテル

「…む、難しいよ…っ!」


「ふふ。…そっかそっか。」


私の反応に楽しそうに笑うランバートは、少し意地悪だ。

だけど、そんな彼も好きだと思ってしまう。


(…あ……。)


その時、ふと、ランバートの口元に目が止まった。

彼の形のいい唇が、私の口紅で微かに色づいている。


どきん…!


ふいに、ルタの言葉が頭の中に響く。


“…あ、でも口紅には気をつけなね。”

“祝賀パーティーの時みたいに口紅よれてたら、キスしたの簡単にバレるでしょ。”


ふに…っ


「!」


ランバートの唇に指を這わす。

ぴくり、として目を見開いた彼に、私は告げた。


「…ごめんね。“口紅”、つけちゃってたから…」


「!」


と、私が微笑んだ

その時だった。


ぐいっ!


「っ!」


ランバートが、私の体を強く引き寄せた。

言葉を発する間も無くキスが落とされる。


「…んん、…っ…!」


何度も重ねられる唇。

さらり、とランバートの柔らかい髪が首元に触れた。


…ドサ!


いつのまにかソファに押し倒される体。

優しくも容赦ないキスが続く。


「…っあ、…ん…」


ランバートが、はむ…、とキスの合間に私の唇を甘く噛む。

1番深いキスが終わった後、私を見つめたランバートが、ふわり、と笑って囁いた。


「…全部、取れちゃったね。」


「っ!」


それが“口紅”のことを言っているのだと気づかない私ではない。


(…っ、もう…!ほんとにこの人は…っ!)


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