大剣のエーテル
満足げに、にやりと大人の笑みを浮かべるランバートは、ふぅ、と呼吸を整えて、親指で軽く自分の唇を拭った。
その仕草がやけに色っぽく見える。
「…外、もう真っ暗だね。」
ふと、そう呟いたランバートに続いて窓の外を見ると、街はすでに夜の帳に包まれている。
時計は午後9時を回っているようだ。
ばさり、とコートを羽織るランバート。
(…え…?)
帰り支度を始めている様子の彼を、きょとん、と見つめる。
「…今日は帰らないんじゃなかったの…?」
「!!」
目を見開く彼に、私は過去の記憶からランバートの発言の矛盾を頭の中で確かめた。
すると彼は、動揺して私に尋ねる。
「…えっと…。意味分かってる?」
「わ、分かってるよ!私だって、それくらい…」
「ノアちゃんは俺の理性を試してるの?無自覚に煽ってるの?わざとなの?」
焦れったいように髪の毛をかき上げたランバートは、煩悩を振り切るように私の手を取った。
「…あー、だめ。これ以上は俺が持ちそうにない…!ここに泊まると、明日からの仕事をすっぽかしそうっ!」
(…?イヴァンさんに連絡したんじゃなかったのかな?)
すると、ランバートはすっ、と私との距離を詰めた。
ほのかに香るランバートの匂い。
…ちゅ…っ!
「っ?!」
首筋に落とされたキス。
触れられなかった領域に這う舌の感触にぞくり、と甘い痺れが体に走った。
「…続きは次のデートでね。」
離れ際に、そっと囁かれたセリフに腰を抜かしたのは言うまでもない。
こうして、私とランバートの初めてのクリスマスデートが思い出の1ページとして刻まれたのです。
おまけ*終