大剣のエーテル
その瞬間、ランバートがわずかに肩を震わせた。
目を見開いたまま硬直している。
(…さすがに言いすぎたかな。せっかく力になろうとしてくれたのに…)
無言になってしまったランバートを、私はおずおずと見つめた。
すると、彼は真剣な瞳で私を見下ろす。
(え…)
どきり、とした時、ランバートが静かに口を開いた。
「ノアちゃん、エーテルの団長を見たの?」
「…!…う、うん。すごく大きくて強そうな男の人で、大剣を軽々と持ち上げてたわ。ちょうど、この町にいるみたいで…」
急に問われ、私はぎこちなく答える。
(…どうしてそんなことを聞くんだろう)
すると、ランバートは「へぇ…」と小さく呟いた。
そして私から目を逸らし、遠くを見つめるような視線を空に向ける。
何かを考えているような彼の様子を伺っていると、ランバートは「…ノアちゃん。」と小さく私の名を呼んだ。
そして数秒後、彼は真剣な声色で予想外の言葉を紡いだのだ。
「もし、俺がエーテルの団長だったら……
一緒について来てって頼む?」
「え…?」
そんなことあるはずがないのに、ランバートは表情を変えずにさらりとそう言った。
また冗談を言っているのだろうか。
この人は穏やかでにこにこしているようで、イマイチ本心が見えない。
「そりゃあ…そうね。…エーテルの団長より心強いものはないもの。」