大剣のエーテル
イヴァンは、テーブルの上に置かれた資料を手に取り話を続ける。
「これは、ランバートの部屋から拝借した会合の資料のコピーだ。俺はこれの内容を頭に入れて、当日、“団長代理”として会合に出席する。」
「ほぉー」と感嘆の声を漏らすルタとロルフ。
「それ、ランバート本人が出なくてもいい会議なの?」
ルタの問いかけに、「要はただの意見交換会だ。エーテルの動きが分かっている者なら、誰が出たところで問題ない。」とイヴァンが答える。
イヴァンは、れっきとしたエーテルの参謀、兼、ランバートの右腕だ。
彼が代わりに出席するとしても、批判が出ることはまずないだろう。
トントン、と資料をまとめるイヴァンに、ルタが声をかけた。
「ふぅん。じゃあ、これで解決だね。頑張ってイヴァン。」
「ちょっと待った。お前にはさらに重要な任務があるぞ、ルタ。」
「?」
眉を寄せるルタに、イヴァンは黒いスーツの胸元から1枚の紙を取り出した。
手渡されたルタは、その紙にさらり、と目を通す。
「“集まれ!冬の恋人たち”?…何これ。」
冷めた視線をイヴァンに向けるルタ。
黒いスーツの彼は、平然と答える。
「来週開催される、豪華特典付きの祭典だ。まぁ簡単に言えば…参加自由の“カラオケ大会”だな。」