大剣のエーテル

その時、ルタの手元の紙を覗き込んでいたロルフが目を輝かせて声をあげた。


「おっ!すげーじゃん、これ!優勝者には、“シャトー・クレ”のクリスマスディナー券を贈呈だってよ!」


「…?しゃ……?」


「知らねーのかよ、ルタ!城下に最近出来たばっかのレストランだよ。料理もうまくて内装もオシャレで、女の子を連れてくにはサイコーのデートスポットだろーが!」


「悪かったね、そこら辺疎くて。俺はあんたみたいに四六時中、デートのことを考えているほど暇じゃないから。」


その発言にイラっ、とした様子のロルフは、いつものようにルタに突っかかる。


「…へーえ、お医者様は忙しいもんな。俺がいいやつ紹介してやろうか?ルタも黙ってれば見た目だけはいいんだし。」


「“黙ってれば見た目だけはいい”のはあんたの方でしょ。ばかにしないでくれる?」


言い合いを始めようとする2人だが、ルタがはぁ、とため息をついてイヴァンに尋ねた。


「…で?この訳の分からないネーミングのカラオケ大会が何なの?」


すると、その時。

琥珀色の瞳を細めたイヴァンがさらり、と言い放った。


「ルタ。お前、このカラオケ大会で優勝してこい。」


「は?」


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