大剣のエーテル

私は、まだ迷いの残る心を捨てきれず、不安をぶつけるようにしてランバートに声をかけた。


「気持ちは嬉しいけど、考えてみて?もし、ダーナさんが許してくれたとしても…私には行くあてがないわ…!もしかしたら、二度と町から出ようだなんて考えないように監禁されるかも…」


すると、ランバートはぴたり、と立ち止まった。

息継ぎもせずに一気に言い切った私の言葉に、彼はゆっくり振り返る。


「うーん…、そうだなぁ……」


整った彼の横顔に、先程の無垢な笑顔とは別の不敵な笑みが見えた。

色気のある表情から目が離せない。

急に別人のような大人っぽい顔をした彼は低く艶のある声で言い切った。


「そん時は、俺がさらってあげるよ。」


「…っ!」


(ほ、本当にこの人は…!)


イヴァンさんが疲れる理由が分かったかもしれない。

ランバートが時より放つ、強い引力を秘めた言葉や仕草は、いとも簡単に私の迷いを消し飛ばすのだ。

そして、抵抗する間もなく彼のペースに巻き込まれていく。


ザワザワザワ…!


風に吹かれた木々たちが、不穏な気配を暗示するかのように不気味な音を立てた。

青空に輝いていた太陽に群雲がかかる。

私は、陰りを帯びた木漏れ日が差し込む道をランバートに引かれるがままに進み、町へと向かったのだった。

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