大剣のエーテル

*氷の外科医



「着いたぞ、ノア。ここが診療所だ。」


数分町を進むと、やがて日向ぼっこが出来そうな小さな庭がついた一軒家に辿り着いた。

そこはまるで絵本に出てきそうな外観で、壁や屋根が綺麗に塗装されている。


木でできた扉を開けると、中は落ち着いた雰囲気の調度品が並んでいた。

廊下の奥の部屋から話し声が聞こえる。

どうやら、突き当たりの部屋にランバートたちがいるようだ。

奥の部屋に近づくにつれて緊張感が高まる。


イヴァンさんが扉のノブを引いた瞬間、部屋の中にいた2人が、ふっとこちらを向いた。

ランバートは私と目が合うと、ぱっ!と笑みを浮かべ、まだ見慣れない綺麗な碧眼の彼は、カルテを手にして椅子に座っている。

イヴァンさんは、白衣の彼に向かって口を開いた。


「一時的な拠点にしては立派な建物だな。被害者の容態はどうだ、“ルタ”。」


白衣の天使だと噂の医者の名前は、ルタというらしい。

青年はイヴァンさんの問いかけに、さらりと答えた。


「治療のための設備が整った医療所を借りてるんだよ。彼なら大丈夫。止血を終えて、今は奥のベッドに寝かせてる。」


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