大剣のエーテル
(よかった。あの男の人は無事なんだ)
ほっ、としたその時、白衣の青年がふいっ、と私に視線を向けた。
碧眼に私の姿が映った瞬間、彼は微かに眉を寄せる。
「イヴァン。後ろの変な生き物は何。まさか、ナンパでもしたの?」
(へ、変な生き物呼ばわり…!)
ぐさりと心臓に言葉のナイフが突き刺さった時、ランバートが明るく声を上げた。
「違う違う、イヴァンの連れじゃないよ。強いて言うなら、俺が声をかけたの。」
無言でランバートに視線を向けた白衣の青年に、イヴァンさんが続ける。
「彼女はノア。訳あって俺たちの旅に同行することになったんだ。」
白衣の彼は、さほど興味がないように私を一瞥した。
距離を置かれている感じがひしひしと伝わってくる。
イヴァンさんは、その様子に小さくため息をついて私に言った。
「ノア、紹介する。こいつの名前はルタ。歳は俺より二つ下で若いが、れっきとした医者だ。今は軍医としてエーテルに所属している。」
(イヴァンさんの二つ下…ってことは、24歳…?お医者さんとしても若いのに、国の特殊部隊の軍医になるなんて…)
史上最年少と噂には聞いていたが、彼は相当腕の立つ医者のようだ。
しかし、外見だけで言えばランバートと同い年と言われてもおかしくないほど幼く見える。
可愛げのある整った顔立ちをしているからだろうか。