大剣のエーテル


「体調が悪くなったらすぐルタに診て貰えばいいよ。何でも治してくれるから」


そう言って笑ったランバートに、白衣の彼は「俺の専門は“外科”だから。風邪くらいは自分で治してよね。」と低く訂正している。

その時、ちらり、と視線が交わった。

私はすかさず頭を下げる。


「あ、えっと…ルタさん初めまして、ノアです。よろしくお願いします…!」


しかし彼は、つんっ、として視線を逸らしてしまった。

静かにショックを受けていると、イヴァンさんがすかさず「こら。挨拶くらいしろ。」と唸る。

しかし、白衣の彼は氷の態度を崩さない。


「別に、ランバートの連れってだけでしょ。
“よろしく”する義理も馴れ合う気もない。」


ぴしゃり。


心のシャッターを完全に閉鎖された気がした。

彼と私の間にあるのは溝どころではない。まさに、深い谷である。


(すごく迷惑そう…。嫌われちゃったかな…?特に何かをした覚えもないけど…)


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