大剣のエーテル

フェリシアちゃんが、たん、とルタさんの膝から降りたところで、再び男性の声が聞こえた。


「先生、ありがとうございます。貴方のおかげで命拾いをしました。他のエーテルの方はいらっしゃらないのですか?確か、私を助けてくださった方がまだいたはずですが…」


男性の言葉に、ルタさんがため息を吐きながら答える。


「あぁ、他の2人なら外に出た。礼なんて必要ないから、あんたは傷を完治させることだけを考えなよ。悪化したら面倒だからね。」


いつもの口調で言い切ったルタさんに、男性が小さく呼吸をした。

起き上がったまま動きを止めた影がカーテンに映る。


「そうですか…他の団員達は外に……」


ぼそり、と聞こえたその声は、先ほどまでの声より少し低い。

ルタさんは、気にも留めていないようにさらさらと書類にペンを走らせる。


「とにかく、あんたはそのまま寝てて。こっちの診察が落ち着いたらまた診てあげるから。」


ルタさんの声が静かな診察室に響いた瞬間

カーテンに映る黒い影が、ゆらりと蠢いた。

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