大剣のエーテル
**
《イヴァンside》
「あ!見て、イヴァン!すごいよっ、こんなところに四つ葉のクローバーが…」
「黙って幻夢石を探せッ!」
事件現場に着いて早5分。
満足げに「持って帰ってノアちゃんに栞でも作ろうかな…!」と雑草を天に掲げる馬鹿をギロリと睨む。
(ったくコイツは、すぐに目的を忘れるから目が離せねぇ。)
実は器用にかけらも集めている様子のランバートに、俺は眉間にシワを寄せる。
抜けているようで仕事は出来るのが腹が立つ。
俺は慎重深く辺りを見回しながらランバートに声をかけた。
「もう少し確認をしたら診療所に戻るぞ。ノアとルタが2人きりじゃあ葬式のようになってる絵面しか想像つかないからな。」
「んー…確かにそうだね。」
そう呟きながらランバートは、明らかにクローバー探しを続行している。
負の視線を彼に送り、俺は地面にしゃがみ込んだ。
タイルの隙間や家の影にも幻夢石は残っていないようだ。
と、その時。
背後からランバートの声が耳に届く。
「イヴァン、見て!」
「何だ。」
振り向かずに低く唸ると、ランバートはどこか慌てたように早口になる。
「あ、見てないじゃん!ほら、あの角の家!見て、イヴァン!」
俺は、つい眉を寄せてイライラしつつ答えた。
「どうした。今度は五つ葉でも見つけたか?それとも食える野草か?キノコか?」
すると、ランバートはいきなり俺の側頭部を両手で掴んだ。
「いいから、見て!」
「がッ!!」
ぐきん!と無理やり東を向かされた首から痛みが走る。
何しやがる、と怒鳴ろうとした次の瞬間。
俺の視界に飛び込んできたのは、信じられない人物の姿だった。