大剣のエーテル
「あの男…!何でこんなとこをウロついてやがる?!」
つい、驚きの声が漏れた。
そこにいたのは、先ほど人斬りに襲われたはずの男性の姿。
まるで、何事もなかったかのようにジョウロを手に花に水やりをしている。
俺は、ランバートを振り切るように立ち上がると、ツカツカと男に歩み寄って声をかけた。
「おい、お前。傷はどうした?ぶっ倒れてルタの診療所で寝てるんじゃなかったのか。」
「え?ええ?」
明らかに動揺している男性に、俺はさらに詰め寄る。
「血まみれの服はどうした?まさかシャワーを浴びる元気があったのか?染みる痛みで体を洗うどころじゃないだろう?」
するとその時、後からやってきたランバートが「イヴァン、怯えさせちゃダメだよ。」と俺に囁き、口を開いた。
「おじさん、起き上がって大丈夫なの?俺たちが診療所を出た時、まだ意識も戻ってなかったよね?」
すると、男性は訳がわからない、といった表情を浮かべておろおろと答えた。
「あ、あの…、私は怪我なんてしてませんが…?今日は一日中家にこもっていましたし…」