ゆるふわ男子の族事情
ナイフは人を傷つけるものだ。
覚悟がないやつが持っていていいわけじゃない。
こんな馬鹿が振り回していいものじゃないんだ。
ましてや、人質をとるなんて頭がおかしい。
「馬鹿は黙ってお寝んねしてろ」
ナイフを掴んだまま、男が怪我なく気絶する程度に加減をして蹴り飛ばす。
ナイフは男の手から離れて僕の手に残ったまま。
「解散を伝えるのは総長の役目だから僕はしないけど……
さっさとその馬鹿連れて消えてくれる?」
周りで青ざめている連中を見ていうと、蜘蛛の子を散らすかのように去っていく奴等。
そういえば、族の名前聞くの忘れてたな。
緑のピアスを全員がしていたから、多分玄武だろうけど……
そんなことを考えていると、ガシッと音が出そうなくらいに勢いよく手を掴まれた。