ゆるふわ男子の族事情
考えるまでもないか。
どうせ、ほかの族が来たってところだろうし。
幹部メンバーが僕だけだと知っていたのか、それとも全員揃っていても対抗できるほどの策があるのか……
まあ、どちらでも構わない。
「夕ちゃん」
「なに?」
「この部屋から出ないでね」
「へ?」
バイクの音が聞こえているのはきっと僕だけ。
組の仕事を小さい頃からやってるから、聴覚が凄くいいらしい。
その代わり片目の視力は完全にないんだけど……
その話はまた今度ね。
「僕、お客さんの相手をしないといけないから」
いつも通りふにゃりと笑う。
言っちゃ悪いけど僕は組での仕事を積んできてる。
族一つくらいならある程度は対応できるんだよね。
「気をつけてね」
「はーい!」
心配そうな夕ちゃんの声に返事をして幹部室を出た。
下に降りると、僕が降りてきたことに一瞬驚いた表情をした皆。