ゆるふわ男子の族事情
「夢乃さん、どうかしたんですか?」
「お客さんが来そうだから準備しようと思ってー」
この暴走族の下の子の中で次期幹部候補……現下のまとめ役の子の質問に返した僕の言葉に、彼はすぐに行動してくれた。
下の子たちをまとめて、すぐに守る体制に入る。
もちろん、武器とかはなし。
生半可な技術で武器なんてものを持ったら、人殺しになりかねないしね。
あらかた準備が終わったところで、招かれざるお客さんが姿を見せた。
「朱雀!!覚悟してもらおう!」
「総長は今不在なんだー
僕しかいないんだけどいいー?」
下の子より前に出て首を傾げる。
総長と副総長は後ろで指示を出し、最後まで潰れないのが役目だけど幹部は違う。
下の子たちをどれだけ守れるか、誰一人欠けることなくいられるかを考えて前線に立つんだ。
他のところは知らないけど、この族……朱雀だけは昔からそうなんだって。
「ゆるふわ幹部様だけか!
なら、俺達が勝たせてもらうぞ!」
「ゆるふわ幹部ねぇー
そんなふうに言われてるんだー」
「何、ヘラヘラしてやがる!!!」