【短編集】先生×生徒〜しあわせStory〜
初デート。〈先生side〉
「…連絡は以上。午前で終わりだからって寄り道しないで帰るように」
日直の号令を合図に騒がしくなる教室
今日は部活を受け持つ先生たちによる大きな会議があり
他校からも教師が来るらしく午前授業になっている。
ありがたいことに俺はほとんど動いていない図書委員会しか受け持っていないため
俺の仕事も午前中で終わり。
俺は職員室に向かって歩いていると後ろからパタパタと走って来る音が聞こえる
『先生っ』
振り向くと俺のクラスの生徒、森山佳奈が立っていた
「おう、気を付けて帰れよ」
『うんっ!また後でね!』
「ばか、声でけーよ」
ニコニコしながら手を振る森山に背中を向けて俺はそそくさと職員室に向かう
「はぁ…」
本当俺って愛想が無いよな。
微笑んで手を振り返すことくらい簡単なはずなのに、何故かそういうのは昔から苦手だ
自分の気持ちを人前に出すことに抵抗がある俺は
いつも思ってることとは逆の反応をしてしまうことが多い。
好きな人にはなおさら…
俺がもっと素直だったら彼女を喜ばすことも簡単なんだろうけどな。
そんな俺の彼女でもある森山は俺とは正反対で
いつも素直で、無邪気で、明るくて、とにかく可愛いことばかりしてくる
あいつの事になるとなんか調子狂うんだよな…
自分でもビックリするくらい森山にハマってしまっていて、
森山といる時は通常以上に自分の気持ちにセーブをかけてしまっている状態だ。
そんな状態なのにもかかわらず
森山が俺の家に泊まりたいと言うのを許してしまった。
冷静でいられる気がしない
俺、大丈夫かな…